毎年、クリスマスの時期になると思い出すことがある。 幼いころ、クリスマスイヴの夜に、小さな靴下を枕元にぶら下げたことがある。
二段ベッドの下の階で寝たいた私が、クリスマスに靴下をぶらさげたのは、それが初めてだった。
きっと、靴下を用意しておけば、サンタクロースが欲しいものを入れてくれる、と知ったのが、その頃なんだろう。
私は、幼いながらにも、
「こんなに小さな靴下に、私が欲しいオモチャがはいるのかな?」
と不思議に思ったが、そこは、「サンタさんなら何でもできるんだろう」と気にしないことにした。
その夜、オモチャが入ったピカピカの大きな箱を想像しながら眠りについた。
夜中に目が覚めて、ハタと気づき、すぐさま靴下を見てみると……。
赤い小さなサンタクロースのブーツが入っていた。
ブーツ型の容器にお菓子が入っている”あのブーツ”だ。
小さい靴下にすっぽりと収まっている。
ショックだった……。
小さい靴下だったからだ、と思った。オモチャが入った箱が入るくらい大きな靴下を用意しなければダメだったんだ、と思った。
ガッカリしながら横をみると、私に背中をむけて寝ている父の姿が目に入った。
父の背中を見ていたら、「あ~、これはサンタじゃなくてお父さんが入れたんだ」と分かった(笑)
どうして、そう分かったのか。
その時は気づいていないが、今思うと、父からオモチャを買ってもらった記憶がないからだ。
オモチャはいつも母が買ってくれた。父はオモチャを買うことに反対していた記憶がうっすらとある。
父はオモチャよりも、生き物を育てたり、巣から落ちたスズメの子を助けたり、池にドジョウやザリガニを捕りにいったり、買ったオモチャがなくても遊べることを教えてくれたと思う。
しかし、このクリスマスの記憶は、衝撃として残ってしまったのだ。
私は自分の子どもに、そんな想いはさせまいと、大きな袋にお菓子をたくさん詰めたモノと、プレゼントの入った袋を3つぐらい必ず用意した。
「サンタさんに欲しいものを書いて送らないといけないよ」と言って、事前に何が欲しいかを聞き出して買いにいき、見つからないように隠しておいた。
サンタクロースはいると信じ込ませるために、周りの人間、総出でグルになり、子どもたちを騙した(笑)
子どもたちが手紙に書いたモノは、もちろん用意したが、その他にもサプライズで、別のモノを枕元に置いた。
子どもたちは、欲しかったものよりも、サプライズの贈り物のほうが楽しみだったようだ。
私は、子どもたちの嬉しそうな顔を見ると、幸せな気分になったが、心のどこかで、いつも「羨ましいな」と思っていた。
私もこんなクリスマスを経験したかったな……。 12月25日の朝、目が覚めることが楽しみ。 そんな経験をしてみたい。
だから私は、自分で自分のサンタになると決めたんだ。欲しいものも、やりたいことも、全部叶えてあげる。本当のサンタはワタシ!
そう思い、子どもたちが巣立ってからは、『今は毎日がクリスマス!』
実は、自分の他にも、もうひとり、サンタがいたんだよ。
宇宙っていうサンタ。
このサンタ、ホントに毎日毎日、サプライズをくれる。ときどき、欲しくないものも入っていたりするけどね。
まずは、今日も目が覚めたことが奇跡!
今日一日、どんなサプライズをくれるかな?楽しみ♡
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