「猪に殺されたアドニス」というギリシャ神話から学ぶ
突然だが、天体望遠鏡というもので、惑星が見たくなった。
今までそんなことは、一度も思ったことがないのに、「天体望遠鏡を買ってみようか」と思うほど、惑星が見たい。
まあ買ったところで、すぐに飽きることは知っている。
なので、衝動買いをすることはないが、それでもお金をかけずに「肉眼で惑星を観ることはできないか」と思い、調べてみた。
すると、金星なら見れるかもしれないという。
さっそく「金星」というものを調べてみたのだが。
・・・・・・。
そして、いつものように「惑星を観たい」という思いはどこかへ行き、金星から”愛と美の女神、アプロディーテ”へと、興味は移っていったのだ。
そうして、アプロディーテから「アドニスの神話」を知ることになった。
アドニスの神話について、簡単にあらすじをまとめてみる。
- 愛と美の女神アプロディーテに愛された美少年アドニス –
アドニスとは、キニュラス王と、その王女ミュラとの間に生まれた美少年のことをいう。
あるとき、美しい王女ミュラに嫉妬したアプロディーテは、ミュラに、実の父親キニュラスに恋をするよう呪いをかけた。
恋に悩んだミュラは、顔を隠してキニュラスと、一夜を共にしてしまう。
しかし、明かりの下でミュラの顔を見てしまったキニュラスは、実の娘とわかり激怒する。
キニュラスに殺されそうになったミュラを、神々たちが憐れみ、ミルラの木に変えた。
しかし、ミュラは王の子を妊娠していたのだ。
そのミルラの木に、猪がぶつかり、裂け目からアドニスが生まれたのだ。
アドニスはとても美しく、彼を見たアプロディーテは、恋に落ちてしまう。
アプロディーテは、アドニスを箱に入れて、冥界の女神ペルセポネに預けた。ペルセポネは、「箱の中を見てはいけない」という忠告をやぶって箱を開けてしまう。
箱の中の美しいアドニスを見たペルセポネもまた、彼に恋をしてしまうのだ。
やがて、アプロディーテとペルセポネは、アドニスをめぐって争いになる。
ついには天界での裁判となり、審判のゼウスは、 一年の3分の1は、アプロディーテと過ごし、 3分の1は、ペルセポネと過ごし、 残りの3分の1を、アドニスの自由にさせることにした。
アドニスは、自由にできる3分の1の時間を、アプロディーテと過ごすことを選んだ。
面白くないペルセポネは、アプロディーテの恋人、軍人アレースに「アプロディーテは、あなたよりも人間の子に夢中になっている」と告げ口をする。
これを聞いて腹を立てたアレースは、猪に化け、アドニスが狩りをしている最中に、彼を角で刺し殺す。
アドニスは、アプロディーテの目の前で、血を流し、死んでいったのだ。
深い悲しみに打ちひしがれたアプロディーテは、アドニスが流した血を、アネモネの花に変えたという。 (諸説あり)
いろいろとツッコミどころは満載だが、ここでは『そもそもゼウスは何故、一年を3つに分けたのか?』を考えてみたい。
だって、半分づつにすれば問題なかったのに。
たぶんおそらくきっと、ゼウスは過去から現在、未来にいたるまで全てを知っていたから、わざと3つにしたのだ。
そのうちの一つを、アドニスの自由意志にしたのは、アドニスがどちらを選ぶことになっても、争いは起こると知っていたから。
どちらの女神も、怒りと嫉妬心からアドニスを破滅に追い込むとわかっていた……。
そして、アプロディーテの醜い嫉妬から生まれたアドニスを殺すことによって、アプロディーテに天罰を与えたのではないか?
要は、「天に吐いた唾は自分に落ちる」「身から出た錆」「自分で蒔いた種は自分で刈る」といったことを、アプロディーテに思い知らせるためだったのではないか?
アドニスが生れたのも、死んだのも「猪」というところも奥深い。
生れるのも、死ぬのも、神からみたら一緒ってことか。誰かが死なないと、生れてこれない。
だからといって、死んだほうがいいと言いたいわけではないが、
死ぬことをそんなに恐れなくてもいいのかな、と思った。
若さとか、長生きとか、執着しないで、受け入れる。老いるのも、死んでいくのも、受け入れる。
そんなことを教えてくれるお話なのかな。
しかし……。神々の世界が、ホントにこんなんじゃ困りもんですわ。
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